
今では人口に膾炙している「AI」という言葉も、一昔前は専門用語の一つでした。当時は「人工知能」と呼ばれることが多かったのを覚えている方もいらっしゃるでしょう。人工知能の開発は優秀な技術者によって進められてきましたが、その成果はすぐには得られなかったのも事実で、次第にその呼称が廃れてきた結果、AIという言葉に置き換わったと考えられます。皮肉なことに、「AI」の文字を目にする頻度が高まってからは、研究成果も出始めるようになりました。例えば、機械学習、ニューラルネットワークと呼ばれる分野では、「ディープラーニング」という実用的な成果が得られたのです。この流れを止めないためにも、研究者と産業界との協力が欠かせません。AIはビジネスにおいても非常に有用であることを、経営層が認識する必要があります。AIビジネスの特性や方法論は、欧米では広く認知されているのですが、日本ではまだ一部の有識者と経営者のみがコミットしている状況にあります。これからAIについて学ぼうとしている産業界の方に気を付けていただきたいのは、AIとソフトウェアとを同一視してはならないということです。単なるソフトウェアと同次元のレベルで導入を図っても、失敗してしまいます。簡単に言えば、AIは産業界、社会を異次元の世界へ革新する力を持っており、その活用法が正確でなければ使いこなせないのです。その意味では確かにAIを導入するのはリスクも高いのですが、専門家の助言に従って取り組めば、そのリスクを低下させることは可能です。依然として好景気を実感できない日本経済を根本的に立て直すことが出来るのは、AIを置いて他にはありません。では自分のビジネスにAIを取り入れたいと思い立った時、何から始めればよいのでしょうか。筆者がお勧めするのは、AIの歴史を最初に勉強することです。これまでの歩みを知らないまま、付け焼刃の知識で導入するのは禁物です。